第十二夜「リーマンショックの衝撃」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

第十二夜「リーマンショックの衝撃」(1/4)
夏の終わり頃。
お昼過ぎに目が覚めた美里は、ややお酒が残った重い頭で、テレビで流れている映像をぼんやりと見ていた。

アメリカ大手証券会社の経営破綻、いわゆるリーマン・ショックの日。
携帯電話のニュースサイトからも、速報が入ってくる。
営業前に携帯を開いた時、美里の目にも入った。
でも、意味はわからなかった。

リーマンブラザーズ?
良くわからないけど、アメリカは大変そうだな…



次の日。
テレビの画面に映された、段ボール箱を抱えたエリートサラリーマンだった社員たちが、次々と会社を出ていく姿が印象的だった。

まさか、この遠いアメリカの出来事が、銀座の、そして、美里の運命を変えてしまうほどの、深く大きな傷をつくるのだとは、その時には予想できなかった。


リーマンショック後、すぐに、ウォータータワーの水が止まったことに気がついた。

ウォータータワーはその名の通り、最上階から一番下まで、壁づたいに水が流れ落ちてくるデザインが象徴的なビル。

銀座でも、ポルシェビルと並んで1、2を争うほどの有名なビルだ。
でも、ポルシェが飾ってなければポルシェビルではないように、水が止まってはウォータータワーではない。


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