第十二夜「リーマンショックの衝撃」 | ハッピー★レボリューション |
キャバクラ系高収入求人のオミズナビ>業界情報>ハッピー★レボリューション>第十二夜「リーマンショックの衝撃」 |
ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十二夜「リーマンショックの衝撃」(2/4) |
しかし、そんなことが気にならないくらい、お店はいつも通り繁盛していた。 先日の一件でさわちゃんとも逆に仲良くなり、美里はお店に行くのがますます楽しみになっていた。 毎月上がり続ける給与明細に、美里は有頂天になっていた。 今思えば、経済のかげりは見えていたにもかかわらず、自分には関係のないという、根拠のない自信が、美里の羅針盤を狂わせていた。 一方で、みるみる売上が下がってくるお姉さま方がいた。 共通点は、毎回シャンパンなどを入れてくれるような、お客様を派手に飲ませるタイプのお姉さま方だ。 待機席で口々に、「お客様の反応が変わった」と言っていた。 ほどなくして、美里がこの景気の動向に、他人事ではないと感じる日がやってきた。 相変わらず大好きだった小林さんの会社が倒産したことを、ニュースの報道で知ったのだ。 だから最近、 ぜんぜんメールの返事をくれなかったのかな… それから一週間後、久しぶりに突然お店にやってきた小林さんに、美里は何と話しかけていいかわからなかった。 「小林さんの会社、ニュースで見ました」 「そうなんだよ。実はかなり深刻でさ。 こうやって飲んでいる場合じゃないんだよ。 言いにくいんだけどさ、もうお店には来られないかもしれない。 今日は、それを言いに来たんだ」 「え……?」 「だから、せめて最後に好きなもの、飲みなよ」 「え…いいえ…。 私は、このウイスキー好きなので…一緒にいただきます」 美里にできる、精一杯の思いやりだった。 |
前へ 1 2 3 4 次へ |
コンテンツTOP |
業界情報TOP |