第十夜「お客様は誰のもの?」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

第十夜「お客様は誰のもの?」(1/4)
どうやら、その日は寝過ぎたようだ。
ぼんやりした頭で時計を見ると、11時を回っている。

!!! ヤバイ!!
今日は佐藤さんと、12時半にランチの約束をしていたんだった!


佐藤さんは美里にとって、数少ないフト客。
ないがしろにはできない。

メイクもそこそこに、美里は部屋を飛び出した。
幸い、待ち合わせの場所は、美里の家から二駅先の日本橋だ。
なんとか間に合う時間だ。

コレド側の改札を出ると、佐藤さんが待っていた。

「あ! 美里ちゃん! おはよう!
ちゃんと一人で起きられたんだね!」

「もぉ〜! 私、つい最近までOLだったっていうのに、
信用ないですねぇ!」

今日は昼間に時間があくから、ランチをしようと誘われていたのだ。

本当は同伴してくれるほうが、うれしいんだけどな…。

飲み慣れている佐藤さんは、もちろんそんな、美里の本音は知っている。
それでもランチに誘って、その誘いに嫌な顔一つせずに、嬉しそうに美里が乗ってくれることが満足なのだ。

明るくて、石畳になっているイタリアンのお店に入ると、佐藤さんはカバンから取り出した紙袋を差し出した。

「はい、コレ」

「……え? 何ですか?」

中に入っている箱のつつみをあけると、ブレスレットが入っていた。

「うれしい! いただけるんですか!?」

美里はあまりジュエリーには興味はなかったが、佐藤さんの気持ちを思って、大げさなくらいよろこんだ。

「はずれちゃうまで、絶対はずさないっ!」

その場でブレスレットを着けてもらい、はしゃいで見せた。

佐藤さんは頼んだチーズリゾットを食べながら、意外なことを言った。


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