第十夜「お客様は誰のもの?」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

第十夜「お客様は誰のもの?」(2/4)
「そういえば、さわちゃんからメールが来たよ。
今度ゆかた祭りやるんだって?」

さわちゃんから、メール?
私のお客なのに、なんでメールしてんの?
聞いてないんだけど……


さわちゃんは、最近他店から移ってきた、見た目が派手なコだ。
他店ではそこそこ売れていたらしいが、この店では美里のほうが先輩だ。
美里は、かなり嫌な気分になった。

「あ、そうそう。
約束の旅行、何時待ち合わせにしようか?」

うわっ、こんな真っ昼間から、その話!?

「あの…そのことなんですけど。
私、やっぱり、その日は、ちょっと……」

「え?? どういうこと?
あぁ、そういうこと?
そうかぁ。残念だなぁ」


その日、出勤するとすぐに、美里は厨房にいた店長に駆け寄り、小声で言った。

「なんかね、さわちゃんが私のお客の佐藤さんに、
ちょっかい出してるみたいなんだけど…。
店長、なんか言ってやってよ」

「え? ちょっかいって?」

「メールが来たって、佐藤さんが言ってたの。
まったく…。ちょっと他店で売れてたからって、
礼儀も知らないんだから。やーよねー」

美里の言葉には、被害者としての怒りが込められていた。


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