第十夜「お客様は誰のもの?」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十夜「お客様は誰のもの?」(3/4) |
「でもさ、佐藤さんが美里ちゃんのお客さんだって、誰が決めたの?」 「は? 何ソレ? だって、指名されてるし」 「っていうか、美里ちゃん、自分のお客様じゃなかったら、 お礼メールとかイベントのお誘いしないわけ? 逆にそれ、ちょっとびっくりなんだけど」 「は? 意味わかんない!」 「お客様って、美里ちゃんのモノじゃないよ。 そりゃあ、気持ちはわかるけど、選ぶのはお客様だから。 アプローチするのは、自由だと思うな。 佐藤さん自身、さわちゃんからメール来ていること、 嫌がっているわけじゃないんだしさ。 それに、コレはとっても重要なことだけど、 お客様はお店に何をしに来ているんだと思う? モテに来ているんだよ。 男性だったら、女のコたちにモテて嬉しくない人はいないでしょう。 なのに、積極的にメールしないなんて…。 美里ちゃんこそ、他のお客様に対して手を抜いているんじゃない?」 「そ、そんなこと言ったって…」 「それに今聞いた話だと、要は、さわちゃんは、 お店のイベントのお知らせの営業メールをしてくれたってことでしょう? そんなの、さわちゃんに感謝しなくちゃいけないくらいじゃん。 最近の美里ちゃん、営業の基本を忘れてる。僕、悲ちぃ……」 菊地店長は少しふざけた調子で終わらせたが、目は一切笑っていなかった。 その夜、佐藤さんが、一人で来店した。 え? 今日は珍しいな… 店に来るときは、いつも美里と同伴してくれるのに… そう思って席を立ちかけた美里に、店長が言った。 「あ、今日は美里ちゃんじゃないんだ」 「え……?」 「さわちゃん、佐藤さんが呼んでいるよ。頑張って!」 え……? 美里は、目の前が真っ暗になった。 |
つづく |
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