前夜「プロローグ」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

前夜「プロローグ」(1/5)
「ねぇ、ねぇ、美里ちゃんの夢ってさ、何?」

「夢……?」

聞き慣れない言葉に、美里は一瞬真顔になってしまった。

このお客さん、なにが言いたいのかな…?
あ、そうだ!


「お嫁さん!」

「そっかぁ! 美里ちゃんみたいな可愛いコが毎日一緒にいてくれたら、旦那さんは毎日幸せだろうなぁ」

店内は、音楽と笑い声などが入り、隣の席の会話も聞こえないくらいだったが、その騒音が、より一層美里を静寂の世界へと引き込んでいった。

その後も、何か話しかけられていたような気がしたが、美里は上の空でさっきの言葉が頭の中でこだましていた。

夢? 夢って、何?
夢? 私の、夢?




美里が銀座のキャバクラで働くようになったのは、3ヵ月前からだ。

「ねぇねぇ美里。銀座に超雰囲気のいいバーができたんだって!
今日そこ寄ってかない?」

就職先の商社で仲良くなったあやが、はしゃぎながら、駆け寄ってきた。
今日のあやは白いワンピース。
また見たことのない服だ。

あやは、東京生まれの東京育ち。
根っからのお嬢様。
パパは、某銀行の役員だと聞いたことがある。
この会社も、パパのコネで入ったらしい。
あやの実家は目白の一軒家。
この丸の内のオフィスにも、実家から通っている。

「うん、いいよ。行こう! 行こう!」

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