前夜「プロローグ」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
前夜「プロローグ」(2/5) |
大学を卒業し、念願の商社に就職。 華やかなOL生活を夢見ていた美里が現実の厳しさを知ったのは、入社後わずか2ヵ月後だった。 マジ? 給料って、こんなにいろいろ引かれるの? 年収300万。 そこから、雇用保険に健康保険、厚生年金、それに所得税。 うちの会社は労働組合費というものまで引かれる。 なんとなく300万って、大金だと思ってた――。 同級生の友達と比べても、給料は良いほうだった。 なのに、学生時代の収入と比べ、少なくなるなんて、とんだ計算違いだ。 仕送りの15万と、居酒屋でバイトした10万の方がよっぽど良かった。 みんな、どうやって暮らしてんのよ… 社会人になってまで、親におこづかいくれなんて言えないしなぁ… 部屋は大学時代より狭い茗荷谷の1K。 家賃は85,000円。 古い部屋だけは嫌だから、新築で、オートロックで、白いタイル張りのキレイな外観のマンションに決めた。 結果、家賃は予算をはるかにオーバーし、そして部屋はものすごく狭い。 シングルベットとテレビ、それにテーブルを置いたら、それでいっぱいいっぱいだ。 クローゼットに入りきらない洋服が、段ボールの上に山積みになっていた。 美里はこの部屋に、まだ母しか入れたことはない。 ここに引っ越した当初、美里は節約のために自炊をしようと張り切っていた。 学生時代の居酒屋のバイトはまかない付きだったので、これまで料理なんてしたことがない。 玉ねぎと、にんじんと、ジャガイモと、カレーのルーと、ビーフ… え? 牛肉って、こんなに高いの? じゃあ、豚肉でいっか… その日、1時間かけて頑張って作ったカレーを食べながら、ふと、テーブルの上に置いたレシートを見た。 1,960円か…。 それなら、すき家のカレーの4倍じゃん! 何ソレ! 料理をする気が、一気になくなった。 一人分の食事を作るというのは、意外と非効率だということに、すぐに気がついた。 |
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