前夜「プロローグ」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
前夜「プロローグ」(4/5) |
ある日、会社近くで話題のイタリアンでクリームパスタを食べていた時、あやに聞かれた。 「ね、美里ってさ、土日何して遊んでんの?」 「うーん。学生時代の友達とお茶したり、ショッピングかなぁ」 ――嘘じゃない。 切実な願望だけど… 「えー、じゃあ、今度土日で遊ぼうよ!」 「うん、今度ね」 この日のランチは950円。 ランチの後に必ず行くスタバでカフェモカを飲んだら、あのバイトの、長い1時間分が飛んでしまう。 なんだか、全てがばかばかしくなってきた。 あぁ、もっと、効率よく稼げるバイトはないかなぁ… 美里は帰りの電車の中で、携帯をいじりながら求人サイトを見ていた。 【時給1,200円以上】 【時給の高い順に並び替えて検索!】 ええ!? 『フロアレディ・時給6,000円以上』!? 会社で一日働いた額よりも高いじゃん… 水商売(オミズ)って、やっぱりすごいな… これまでにも、オミズの仕事に興味を持ったことは、何度もあった。 学生時代、友達の絵里も、美穂も、キャバでバイトしているという噂を聞いたことはあるし、道を歩いていて、キャバクラのスカウトマンに声をかけられることも、何度もあった。 でも、美里の親はどちらかというと教育熱心なタイプ。 キャバクラでバイトしてるなんてバレたら、大変なことになる。 まして、今は社会人だ。 会社にもバレたらまずい。 そんなことを、幾度となく思い出し、躊躇(ちゅうちょ)していた。 でも、今は状況が違う。 社会人になってから作ったクレジットカードの、10万円を超えた請求書を見た時に、美里の心は決まっていた。 だって、真面目に働いてんのに、お給料超少ないんだもん。 私、悪くない! おそるおそる求人サイトに載っていた店に電話をしてみると、若い男性が電話に出た——。 |
つづく |
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