第二〇夜「ホストとキャバ嬢」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第二〇夜「ホストとキャバ嬢」(3/4) |
「私、次に会う約束もしたかったし、 むしろ、具体的な日程とか場所までちゃんと誘ってほしかったし…。 そもそも、メアド教えたからには、連絡来るんだろうなぁって期待したし。 だってこれがもし、キャバでのやり取りだとしても、 同じようにお客様も思っているはずですよ! 少なくとも、営業メールだとしても、 お礼メールくらいはすぐに来るだろうと思うのが普通ですよね? もし来なかったらがっかりするか、いい加減な対応に怒っちゃいますよ」 「うんうん。そうだよね。 で、その後、メール来たんだ?」 「そうなんですよ! あの2日後に、やっとメールが来たんですよ!」 「で、どんな内容だった?」 「えっと……読みますね。 『先日はありがとう! ちょっと飲み過ぎちゃってさ、実は次の日二日酔いで、 一日中キツかったのにまた飲まされてさ、もう死にそう! エミちゃんは、二日酔いとか大丈夫だった?』 って」 「で? どうなったの?」 「私だって、それが営業だってわかってるけど、 でも、もしかしたら違うかもってこともあって… なんて、いろいろ考えていたら私、 無性に会いたくなっちゃって……」 そして昨日エミは、タカオに会いにお店に行ったのだ。 「なんだか…お客様の複雑な気持ち、 初めてわかったような気がします」 エミは、少し恥ずかしそうにうつむいた。 「私…このやり取りをしてて、 メアド交換をしたときって、 お客様もこんなふうに、ちょっとは期待しているんだろな、って。 現にあのとき、名前も覚えてないんですけど、 私の隣にいた別のホストのコにも連絡先を聞かれたけど、 何となくはぐらかして、結局教えなかったですもん」 「タカオとそのコ、違いはなんだと思う?」 「そう、そこなんですよね! 顔がタイプ、ってわけでもないし…」 エミは、タカオからメールが来た嬉しさと、お客様心理の意外な発見に、妙にハイテンションだった。 そんなエミを見て美里は、考えた新人教育プランがうまくいったのを感じていた——。 |
つづく |
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