第十九夜「新人教育」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十九夜「新人教育」(2/4) |
「いらっしゃいませ! 何飲む? ねぇねぇお姉さん、名前、なんていうの?」 コイツ!!! 美里は、席に着くなりムカッとした。 ホストは20才そこそこに見える。 お姉さんと呼ばれるのは仕方がない。 でも、美里は明らかに彼より年上だ。 ちょっと! 初対面でタメ口って! どういうことよ!? 美里はひとりイライラしながらも、女のコたちが楽しそうに名刺交換をしているところ見て我に返り、笑顔で対応することにした。 「美里って呼んで」 「美里ちゃんかぁ。いい名前だね。 家どこ? 仕事何してんの? ってか、なんでゆかたなの?」 答える間もなく矢継ぎ早に質問され、美里はうんざりしていた。 「家は、この近所。 仕事は普通にOL。 今日はクラブでゆかたのイベントがあったから、 それ終わりで来たの」 「へ〜。そうなんだ〜。 ねぇねぇ、俺、何型に見える?」 ・・・・・は? 君の血液型について、なぜ私が考えなければいけないわけ? ってか、大体、質問しておいて、私の話、聞いてた? 答えた内容と、全然関係ない話なんですけど!!! イライラは、募る一方だったが、美里の微妙な表情の変化に気付くこともなく、やたらと話し続けてくる。 やばい。ここで怒ってはダメだ。 大人にならなくては! 適当な会話には適当な返事で会話をつなげていると、ふと、入店したての頃に美里がお客様からいただいたクレームと、目の前の勇也の会話とがリンクしてきた。 「このコ……変えてくれない!? なんかさぁ、尋問されてるみたいで 疲れちゃうんだよね」 え? 尋問って……。 初対面だし、お客様からは何も話してくれないし、 だから私はただ、会話をしようと思って 質問していただけなのに……。 何がいけないの??? このホストは、昔の私。 このコ、これでも必死なんだ…。 そう思うと、なんだか笑えてきた。 |
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