第十八夜「チームレジェンド」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十八夜「チームレジェンド」—菊地店長の話—(1/4) |
「君は…君の言うように、 正しいことを言っているのだと思う。 いつもお店のことを考えてくれていて、感謝してるよ。 しかしね、物事には、順序ってものがあるんだ。 その順序を間違えると、今回君が痛い思いをしているように、 いくら相手のため、正しいことだとしても、 うまいこと、事が運ばないことも多いんだよ。 人間関係がぎくしゃくしたりとかね」 「けど! あいつらにはきっと、何を言ってもムダですよ。 順序の問題じゃない!」 「そんなことないと思うなぁ。 君は、彼らや、彼女たちの気持ちに立って考えたことはあるか? そもそも、水商売の世界に入ってくる人のほとんどが、 楽して金を稼げると思って入ってくるんだ。 いや別に、その考え自体は悪いことではない」 実際、菊地自身もそう思ってこの業界へ転職をしたことを思い出し、苦笑いした。 「ということは、お店のことや、自分の成長について きちんと考えようとしている人は、元々少ないわけだよ。 俺みたいな管理側の人間とは、考えに温度差があって当た り前。 でもだからって、俺はそれをヨシとはしない。 だけど、ムリヤリ突っ走ろうとも思わない。 ある日突然、従業員がいなくなってしまったら、それこそ大惨事だからね。 そこで、君の協力が必要なんだ」 慎重に、ゆっくりと言葉を選びながら話すオーナーの目が、じっと菊地を見た。 「君に頼みたいのはただ一つ。 どのキャストでもいいから、そのコを キミの力でナンバーワンにしてほしいんだ」 「え? そんな… いきなり言われても…」 「ちなみに、どのキャストでもいいって言ったけど、 選択肢は『新人』さんね」 え… 新人のコを、俺の力でナンバーワンに??? そんなの、ムリだろう… 「その顔は、ムリだと思ってるね? なら仕方がないけど。 でも、よく考えてほしい。 やる前から『そんなことできない』とあきらめてしまうような人間には、 だれもついてこないと思うよ」 挑発的なオーナーの言葉に、菊地の負けず嫌いの性格が騒いだ。 |
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