第十四夜「復興のネオン」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

第十四夜「復興のネオン」(1/4)
平日の夜だというのに、並木通りに人影はない。
あの日から一週間、銀座のほとんどのお店は休業になった。

美里の家の中もぐちゃぐちゃだ。
高層階というほどでもないのに、本棚は倒れ、グラスは割れて床に散乱し、あまりのショックに、3日が経った今も、片付けもできないでいた。

幸い、美里の実家のある新潟は、ほとんど被害はなかったらしい。


一週間がたち、お店が営業を再開した。

開店前の臨時ミーティングでのオーナーの言葉には、いつも以上に力が込められていた。

「皆さん、感傷に浸っている場合ではないのです!
言っておきますが、いや、わかっているとは思いますが、
今日から厳しい時期が始まります。
今こそ、お店全体で、いや、街全体で、力を併せて
この未曾有の危機を乗り越えようではありませんか!

被災地では、多くの方が犠牲になり、
皆さんのご家族でも、被害に遭われた方もいらっしゃるかもしれない。
一方、皆さんはこうして元気に生きている。
この意味がわかりますか?

今はきっと誰もが、多かれ少なかれ、
『何かしたい、自分に何ができるだろう』と
問いかけているだろうと思います。
ボランティアや、募金のようなことで貢献することも、否定はしません。

とはいえ、それはあくまで一時的なものであり、
この復興は3年〜5年、いや20年続くとまでいわれています。
だからこそ、我々には、もっともっと重要な使命があるのです。

皆さんが、日本の中枢であるこの銀座で
目の前の自分の仕事を頑張ることこそが、
日本経済復興の鍵になると、私は考えています。

きっとこの震災で、お客様の中にも、
自社の工場や支店が、大きな被害に遭われたり
親戚などが被災されている方も、少なくないと思います。
そういった方々に、心からの誠意で
思いやりの言葉をかけてあげることこそ、
我々のできる、最大の使命であり、任務であると考えます。

ですから、感傷に浸っている場合ではありません!
本当に何かしたいと思うのであれば、
ぜひ、強い思いやりに裏打ちされた実行力で、
今すぐ行動してください」


それから、お店の体制も少し変わった。


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