第十三夜「特別な店、特別な一人」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十三夜「特別な店、特別な一人」(1/4) |
100年に一度の不景気。 景気が悪いのだから、仕方がない——そう言ってしまえば、納得できた。 わたしだけじゃない わたしは悪くない 景気が悪いのがいけないんだ!! たぶん、この銀座の誰もがそう思っているはず…と、美里は思った。 今月は、もうダメだ… 美里は最近、お昼過ぎまで寝ていることが多くなった。 お客様が少ない=アフターも少なくなったので、友だちに誘われて夜遊びもするようになっていた。 ホステスは、自分磨きも重要、重要! それに、今まで超頑張ったんだし! そう自分に言い聞かせながら、洋服や化粧品もたくさん買った。 お店の女のコたちと、「お店、やばいよね〜」なんて、他人事みたいに笑っていた。 そうして、一ヵ月はあっという間に過ぎていった。 お給料日。 ノルマ未達成分の罰金も引かれ、美里のお給料は前月の約半分になっていた。 ……なんじゃこりゃ 給与明細を見て、ぞっとした。 成績からすると当然の結果だったが、OLの頃と比べて、美容室のセット代や、ドレス代、お客様のプレゼント代などを差し引くと、さして変わらない。 そればかりか、遊びの出費も増え、今月は大赤字だろうということくらい、お金に無頓着な美里にでもわかった。 「美里ちゃん、先月はどうしたの? 美里ちゃんらしくないじゃん」 給与明細に見入っていた美里に、菊地店長が声をかけてきた。 「え? あ…。 いや不景気だし、しょうがないじゃないですか」 「そりゃそうだけど。 でも、美里ちゃん、やるべきこともやっていない気がする。 それに不景気でも、さわちゃんみたいに、 ぐんぐん成績が伸びてるコもいるし。 他店でも、店によってはかなり繁盛してるとこもあるらしいよ」 「さわちゃんは、VIPがついたからでしょ。 そんなのさわちゃんが、たまたま恵まれてるだけですよ。 たまたま…」 「そうかなぁ……」 反撃しながらも、美里は自分の発言に得体の知れない違和感を感じていた。 菊地は遠慮しながら、つぶやくようにぼそぼそと言った。 |
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