第十三夜「特別な店、特別な一人」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第十三夜「特別な店、特別な一人」(3/4) |
その時の美里は、批判的な気持ちで吉田さんの話を聞いていた。 でも、あれから吉田さんは うちの店にあんまり来なくなった気がする… もしかして、そのコのお店に行ってるのかな? 営業は量だけじゃなく、質も大切——。 質は、接客中の気づかいだと思っていた美里の考え方に、変化が起きた。 ほかのコと同じようなことをしていても、 ダメなのかも… 美里は手帖のメモ欄に『お客様によろこばれることリスト30』と書き、とにかく30個、お客様に「できること・したいこと・よろこばれること」を個条書きしてみた。 1・空港へお迎え(パクリだけど、いいや!) 2・手書きのお手紙 3・お誕生日のお祝いメール(常識だけど……) 4・どこかに行ったらおみやげを買ってくる 5・お客様の趣味のことを勉強してみる 6・一度くらいお食事をご馳走する(高いところは無理だけど…) 7・お客様の会社をホームページで調べてみる ……あれ? 意外と思い浮かばないや それにしても、 まわりがみんな不景気なのに、自分だけは好調って…… 気持ちいいんだろうなー その日の営業から美里は、『お客様がよろこぶこと…』を考えながら接客することにした。 すると、自然とお客様との会話から、ヒントが見えてくるようになった。 お礼のメールも、ちょっと変えてみた。 今までは、とりあえず次の日までにメールをすればいいと思っていた美里だったが、会話の内容を思い出しながら、具体的な内容のお礼メールを、次の日の午前中には送るようにした。 2週間もすると、美里の手帖はまたお客様との予定で埋まるようになっていた。 菊地店長の言っていた通りだ 不景気だからこそ、いつも以上に頑張らなくちゃ! 「手帖が埋まると、仕事も楽しくなる」——これはオミズの鉄則だ。 いつの間にか美里は、以前の前向きな美里に戻っていた。 あの、夢ではないかと思ってしまうような“3月の悲劇”が訪れるまでは……。 |
つづく |
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