第十一夜「お店はわかってくれない?」 | ハッピー★レボリューション

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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。
text by 甲賀 香織

第十一夜「お店はわかってくれない?」(4/4)
コラム

vol.12 ヘルプのあれこれ

お店で「ヘルプ」を指すものは、2通りあります。

(1) ヘルプ(売上制ではなく、時給換算の給与)として採用されているホステスのこと。
対義語:売上・売上のお姉さん
(2) 給与体系などは関係なく、自分のお客様以外のお席についてお客様の接客をすること。
※今回のハッピーレボリューションの美里の回想シーンの場合は、こちらが該当します

まず、(1)でいうヘルプに必要な第一条件は、とにかく容姿端麗なこと。それが、お給料を決める主な基準になります。
顔とスタイルに値段がつく感じです。
その分、接客については多少目をつぶり(会話が下手でも、見た目が良ければとりあえずよしとしよう、みたいな…)、営業は、もし頑張ったらその分ボーナスがつく、という仕組み。

ですから、係(指名)の女性が決まっているお客様と同伴しても良いのです。
その場合、ヘルプのコには同伴ポイントがつき、係(指名)のホステスには、売上がつく仕組みになっています。
ヘルプのコは、こういった同伴ポイントがたまると、お給料日にボーナスがもらえます。

初めてホステスになって、ゼロからのスタートの場合、いきなりお客様がつくわけではありません。
売上ホステスとしての道を希望していても、まずはヘルプからのスタートになります。
その場合、売上はつきませんが、係(指名)の女性が辞めたり、あなた自身が他店へ移籍する時などには、そのお客様が自分のお客様として「売上」になる可能性も十分にあるわけです。
これは主に銀座でのお話。

次に、(2)のヘルプは、つまりはお互いの協力関係を指しています。いわゆるギブ&テイクですね。
ある程度指名が獲得できるようになってくると、当然お客様が重なってしまうことだってあります。
そんな時、場をつないでくれるのが、自分のヘルプをしてくれるコ。
そのコが仲良しさんだったり、自分を良く思ってくれるコだったら、安心して任せていられます。

一方、万がいち、自分がいない間に悪口や、事実無根の悪い噂などをお客様に言われたりしたら、どうでしょう? ……怖いですよね。
事実、そういうトラブルは多数聞きます。
女は嫉妬の生き物ですからね。
では、それを防ぐにはどうすれば良いのでしょう?

今回の美里が学んだように、お店や他の女のコたちの利益になるような協力を買って出れば良いのです。
よほどの天才でない限り、最初は周囲から「明るく素直で使えるヤツ」として認識されることから、ホステスとしての出世街道が開けてくると思います。
売上や指名数にこだわるのは、その次です。
仮に、絶世の美女で、接客の天才であったとしても、一匹オオカミで頑張るには限界がありますから、やはり周囲との協調性は重要です。

また、これは水商売に限らずいえることですし、当たり前の話ですが、お店は売上を増やし、利益を増やすことが目的で商売をしています。
つまり、個人の成績や自分の都合ばかり優先して、他の女性やスタッフを振り回すようなコよりも、お店の利益を最優先に考えるコが、重宝がられる=お給料を上げてでもうちにいてほしい、いいコだからいいお客様を紹介してあげよう、と思われるコなわけです。

ともすれば、自分の努力や才能だけで、成果を勝ち取れたと勘違いしがちなこのお仕事。
ですが、常に、お給料を払ってくださるオーナーや、働きやすい環境を作ってくださる店長さんやスタッフさん、自分の売上にならないにも関わらず、楽しくヘルプをしてくれる女のコたち、そして、何よりご来店くださるお客様にも、常に感謝の気持ちを忘れてはいけないと、私は思います。


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