ハッピーレボリューション

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第二〇夜 「ホストとキャバ嬢」

一週間後。

営業前の店内では、先週美里がホストクラブに連れていった新人の女のコたちを集めていた。


「さて!
 今からこの前のホストクラブの反省会をします!
 あれから、ホストさんからメール来た人!」

女のコ3人のうち1人は、メアドを聞かれなかったので、教えなかったらしい。
ほかの2人は、あのときのホストとメールのやり取りをしているとのこと。

「美里さん、私、実は…」

エミが言いにくそうに口を開いた。

「昨日、あのお店に、また行ったんです……」

「え? マジ?
 エミについてたのって、どんなコだっけ?
 ていうか、なんで急に行く気になったわけ?
 あの日、そんな盛り上がってた?
 全然気がつかなかった」

ほかの2人と一緒に、美里はエミの話に食いついた。


エミの話はこうだ。

あのときエミは、向かい側に座ったタカオと話が弾んでいた。
見た目は特別タイプというわけではなかったが、本当に楽しそうに笑う、優しそうな人だった。

「ホストでも、こんなマジメそうな人がいるんだなって、
 そのとき思ったんです…」


「タカオさんて、どの辺のスポットが詳しいんですか?」

「そうですねぇ、この新宿あたりが実は地元だから、ここら辺詳しいですよ!
 ってか『タカオくん』でいいですよ!」

「あ、じゃあ、タカオくん!
 今度おいしいお店、連れてって。
 それと、タカオくんも敬語やめてよ」

「そうだね!
 じゃあ今度、おいしいお店、紹介するよ!」

「やった
! 約束だよ!」



帰り際、タカオとエミは連絡先を教え合った。
タカオの接客は、普段エミがお店の営業で頑張ろうとしていることが、不思議なくらい自然とできていた。


「で、当然、その日のうちに連絡が来ると思ってたんです。
 っていうか、女のコから連絡先を聞いたら、
 普通はうれしくて、すぐ連絡しますよね?」

「なのに、来なかったんだ?」

「そうなんですよ!
 いや、だって私、お客ですよ!
 あんなに意気投合して、
 食事の約束だってしたのに…」

「うんうん。
 それで、エミちゃん、どう思った?」

「なんだか逆に気になっちゃって
 考えちゃいましたよ。
 
 『社交辞令ってやつ?』
 『私何か気分を害するようなこと、言ったかなぁ?』
 『いや、単に仕事が忙しいだけなのかもしれない…』
 『でも、普通メールする暇くらいあるよなぁ…』
 『やっぱ、適当に扱われたのかな…』

 とか、それはもう、いろいろと。
 でも私、よく考えてみたら、
 約束っていっても、具体的な約束はしてなかったんですよね…」

あの店に行った翌日から、エミが仕事の合間に、何度も何度も携帯を開いて確認していたのを、美里は知っていた。


「私、次に会う約束もしたかったし、
 むしろ、具体的な日程とか場所までちゃんと誘ってほしかったし…。
 そもそも、メアド教えたからには、連絡来るんだろうなぁって期待したし。
 だってこれがもし、キャバでのやり取りだとしても、
 同じようにお客様も思っているはずですよ!
 少なくとも、営業メールだとしても、
 お礼メールくらいはすぐに来るだろうと思うのが普通ですよね?
 もし来なかったらがっかりするか、いい加減な対応に怒っちゃいますよ」

「うんうん。そうだよね。
 で、その後、メール来たんだ?」

「そうなんですよ!
 あの2日後に、やっとメールが来たんですよ!」

「で、どんな内容だった?」

「えっと……読みますね。

『先日はありがとう!
 ちょっと飲み過ぎちゃってさ、実は次の日二日酔いで、
 一日中キツかったのにまた飲まされてさ、もう死にそう!
 エミちゃんは、二日酔いとか大丈夫だった?』

 って」

「で? どうなったの?」

「私だって、それが営業だってわかってるけど、
 でも、もしかしたら違うかもってこともあって…
 なんて、いろいろ考えていたら私、
 無性に会いたくなっちゃって……」


そして昨日エミは、タカオに会いにお店に行ったのだ。



「なんだか…お客様の複雑な気持ち、
 初めてわかったような気がします」

エミは、少し恥ずかしそうにうつむいた。

「私…このやり取りをしてて、
 メアド交換をしたときって、
 お客様もこんなふうに、ちょっとは期待しているんだろな、って。
 現にあのとき、名前も覚えてないんですけど、
 私の隣にいた別のホストのコにも連絡先を聞かれたけど、
 何となくはぐらかして、結局教えなかったですもん」

「タカオとそのコ、違いはなんだと思う?」

「そう、そこなんですよね!
 顔がタイプ、ってわけでもないし…」


エミは、タカオからメールが来た嬉しさと、お客様心理の意外な発見に、妙にハイテンションだった。

そんなエミを見て美里は、考えた新人教育プランがうまくいったのを感じていた——。

(つづく)


★ Kaori's column ★

vol.21 オミズ的SNS活用法
突然ですが、みなさんはFacebook、Twitter、ブログなど、やっていますか?

うまく使えば、効果的なSNS。
特に40代くらいまでのお客様には効果抜群です!
では、SNSはどんなふうに効果を発揮するのでしょう?
また、それぞれどのように使い分けるのがいいのでしょう?

「隙のある女性がモテる」というのは、よく耳にしますよね?
でもその「隙」って一体、何だと思いますか?

お客様と初めて出会うのは「キレイなドレス+セットしたヘア+気合いの入ったメイク」のときですよね。
キラキラ輝くあなたを見て、お客様は「お店のコ」という目で見ています。
つまりこの時点では、お客様にとってあなたは恋愛対象などではなく、ちょっと遠い存在なのです。

そこで「隙」が必要なのです。
「隙」があると、「俺もいけるかな、いや、無理だろうな。でも、ひょっとしたら…」という、ドキドキワクワク感をお客様に楽しんでいただくことができるんです。

でも「隙」を意図的に作り出そうとするのは、至難の業。
そんなとき、ブログやSNSが有効なのです。

タレントさんのブログを例にあげると……プライベートなことが書かれていると、ちょっと身近な存在に感じることがありますよね?
同様に、あなたもお客様の「プチアイドル」として、お客様に親近感を感じてもらえるようなネタを発信し続けると、お店とは違ったあなたの別の顔(素に近い自分)を見てもらうことができます。

さらに、お客様のブログやFacebook、Twitterなどを積極的にチェックして、コメントすることで、交流することだってできる。
交流ができると、あなたはその方にとって、特別な存在になれるんです!

ふだん、お店の接客では聞き役に徹していると、自分の主張をする機会は少ないですよね。
そこで、ブログで自分の主義主張をさりげなく織り交ぜておくと、次にお会いしたときの会話のネタにもなるし、自分を理解してくれることにもつながります。
お客様に自分の話ばかりしまくる、押しつけがましい会話とは違って、興味がなければ流すし、興味があれば食いついてくれる、便利な存在です。

でも、使い方を間違えると、逆にお客様が離れてしまうことにもなりかねないので、ちょっと注意が必要です。
そのポイントは3つ!

(1)ポジティブなネタしか書かない

いくら精神的につらくても、心のうちを書いてはいけません。
そんなつぶやきを見て、お客様は心配して来店してくれると思いますか?
確かに、そういう人もいなくはないけど、いたとしても少数派。
圧倒的に離れていく率のほうが高いです。

例え誰かにムカついても、悪口も書いてはいけません。
「このコはいつもこうして、人の悪口を言うコなんだな」って思われてしまいます。
人の悪口だけじゃなく、「あのお店はイマイチだった」というような批判もNG。
「あのコは、こんなお店では満足させられないかもしれない」と思われ、お客様があなたを誘いにくくなってしまいます。

(2)コメントやメッセージをいただいたら、必ず返信。しかも、できるだけ早く

これはお客様に限った話ではなく、コミュニケーションの基本!
コメントを返さないということは、書いた方は「無視された」と感じます。
メールのやり取りとまったく同じですね。
大切なのは、コメントに返信して、また返信をもらって……と続いた場合、必ず自分からの返信で終わらせること。
例え「これは返信する必要がないでしょ」という内容でも、必ず返します。
(「頑張ってくださいね!」→「ありがとうございます! 頑張ります!」のように)

(3)本当のプライベートは書かない

これはあたりまえのことですが…「私の彼が…」なんて話は、お客様ドン引きです。
ほかにも、どんなに片づけ下手でお部屋がゴミ屋敷になっていたとしても、「こんな状態でーす(苦笑)」なんて画像付きでアップしたら、これはもう隙を超越しちゃいます(笑)。
自分の写真も同様で、変顔は何の得もないので、ヤメときましょう。

(4)できるだけ写真を載せる

私は写真嫌いなのであまり載せませんが…文章を書くのが苦手だったり面倒だったりしても、写真をアップするだけでイメージが伝わるし、ネタにもなるのでオススメです。

(5)毎日更新する

マメに更新すると、それだけ見てくれる(=自分を気にしてくれる)人が増えます。
短くてもOK。
とにかくこまめに更新しましょう☆


私も4年くらい前から毎日のようにブログを書いています。
オミズ現役のころは、リピーターのお客様と、より親密になるツールとして活用していました。
私のまわりにも「ブログ女王」的な女のコがいっぱいいます(^_^)

みなさんもぜひ、ブログやSNSを有効に使って、一網打尽のPRを目指しましょう♪