ハッピーレボリューション

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第五夜 「営業の基本って?」

「美里ちゃん、名刺できたから、ロッカー入れておいたよ!」

「はーい! ありがとうございます!」

今回美里は名刺を変えてみた。
仲良しのサツキに、「美里も、名刺かわいぃのにしなよぉ」と言われたのがきっかけだ。

シンプルなお店の名刺ではなく、キラキラしたデザインで、値段も今までの2倍のものにした。
それから、アドレスも入れてみた。
連絡先は、今まで聞かれたら教えていたけれど、プライベートでも使っている携帯だし、何となく、不特定多数の人に教えるのには抵抗があった。

ちょうど、月の変わり、一ヵ月がスタートしたところ。
心機一転、新しい名刺で接客をすることした。

「美里です。はじめまして!」

美里は、菊地店長に教わった通りに、席に着いたら必ず名刺を渡すのを実行していた。
いつものように名刺を渡してみたが、今日はなんだかそわそわする。

お客様の反応、違うかな…。

「あれ? 君の名刺、みんなのとは違うんだね」

初来店のそのお客様には、そんな感想を言われただけだった。

かわいいね、くらい言ってよ…

美里はちょっとがっかりした。

その後も、8人のお客様に名刺を渡したが、無反応か、さっきと同じような反応だけ。

でもでも、アドレス載せちゃったから、
きっと新しいお客様からじゃんじゃん連絡来ちゃうんだろな~


明日、せっせとメールを返信している自分を想像して、ため息が出た。


次の日。
お昼頃、もそもそと起き出した美里は、おもむろに携帯を開いてみた。
すると、メールは一件もきていなかった…。

ん?
そういうもん?


その日の営業でも、昨日と同じように名刺を7枚配ったが、結果は同じだった。

美里はちょっと拍子抜けして、営業前に近くのプロントでパスタを食べながら、サツキに聞いてみた。

「ねぇ、ねぇ、サツキって、名刺に携帯載せてる?」

「携帯? 載せてるよ。なんで?」

「なんかさぁ、客って結構連絡してこないもんだね」

「ん? あははははは。何言ってんの? 当たり前じゃーん。
 美里って、どんだけ女王様営業してたわけ?」

女王様営業の真意はわからなかったが、サツキも同じらしい、ということはわかった。


その日の夜、送りの車を待っている間、菊地店長にも聞いてみた。

「店長、お客さんって、名刺に携帯載せても、
 あんま連絡してこないものなんですかね?
 今まで聞かれて教えてたら、しつこいくらいにメールきてたから、
 載せるのドキドキしてたんですけど、
 逆に全く連絡ないから、心配なんですけど…。
 何でですかね?」

「あれ? 美里ちゃんって、そういう営業してたんだ。
 それはそれは、気がつかなくてごめん」

「え? どういうことですか?」

「オミズの営業の基本を教えてなかったね、と思ってさ」

「営業の基本、ですかぁ…?」

「そうそう。
 まず、お客様への連絡は自分から、というのが基本なんだ。
 美里ちゃんて、今、お客様の連絡先ってどのくらい持ってる?」

「えっと…20件くらいかなぁ?」

「そっか、やっぱりね。
 美里ちゃんって、確か、入店して5ヵ月になるよね。
 5ヵ月で20件ってのは、ちょっとまずいんだよ」

ボトル整理をしていた菊地店長の手が止まり、美里を心配そうにのぞきこんできた。

(つづく)


★ Kaori's column ★

vol.06 名刺の効用。
名刺って、何のためにあると思いますか?
お客様に覚えておいてもらうため?
連絡先を教えるため?
いえいえ、違います。
「お客様の連絡先を聞くためのきっかけ作りです」

これ、オミズに限らず、どの営業にもほぼ同じことが言えるんです。
恋愛にも言えると思いますね。
それに、女のコが思うほど、お客様は名刺にさほど興味はありません。
他のコより高い名刺を使って見ても、「あ、仕事本気モードなんだな」くらいにしか思わないものなのです。

そんな私も学生時代、地方のキャバクラのアルバイトではやっていました。
名刺の裏に出勤日を書いてみたり、特別感を出すために、あえてお客様の目の前で名刺にアドレスを書いてみたり、「また会いたいです☆」なんてこっそり書き足してみたり。
でも、はっきり言って、効果はほとんどありません!
なぜだと思いますか?

お客様が目の前のあなたに食いついているのは、あなたが目の前にいるその瞬間だけです。
いくらあなたのことがタイプでも、あなたと意気投合したように思えても、一晩寝てお酒が抜けた途端、お客様にとってあなたの存在は、なかったことになるでしょう。
なぜでしょうか?

お客様(男性)は、臆病なので、お酒が抜けて冷静になった途端、財布に入っていた名刺を見つめ、「誘って、断られたら嫌だな」とか、「あんなこと言ったって、どうせ営業だろう」「俺のことなんて、覚えていないだろう」(←「俺も覚えていないけど」)と、何かと理由をつけて、自分から連絡することなんて、滅多にないんです。
そして、名刺はゴミ箱へ… (T_T)

さらには、その日、お客様があなたのお店に行って、あなたと話している、ということは、当然その日に、あなた以外のキャストともお話しているでしょうし、まして、あなたのお店に行っているということは、他のお店にも行ったことがあるということで…。
その度に、きっとタイプのコや、意気投合するコがいるわけで…。

つまり!
ライバルは、数え切れないくらい多いのです!

しかし!
そんなライバルたちに絶対に負けない方法があるんです。

それは、自分から連絡し続けるということです。
例え、返信がなくても、例え、来店されなくても、諦めずに、連絡をし続けることです。

あ! 今、聞こえましたよ!
「そんなことしていたら、キリがない」って?
確かに、そうですね。
だから、同じお店のA子ちゃんも、ライバル店のB子ちゃんも、連絡を諦めちゃうんですね。ライバルたちは、勝手に潰れて行くんです。

そもそもキャバクラやクラブなどは、トイレットペーパーなどとは違い、なくても生きていけるものなのです。でも、それでもそういうお店に行きたくなる瞬間が、誰しもある! そのきっかけを作るのがあなたのメールなんです。

牛角って行かれたことありますか?
テーブルの横にQRコードがあって、「空メールを送ると生ビール一杯無料!」みたいなサービスがありますよね?
その日、何の気なしに空メールを送ったら、2週間に1度くらい、「上カルビ290円!」とか「生ビール一杯無料!」とか、いろいろとクーポンが送られてくるんです。

正直、ちょっとうざったいな、と思ってしまうのですが、「上カルビ」と目にしてしまった私は、特に焼肉好きというわけではないのに、思わず頭の中を上カルビが巡り、「あぁ、久しぶりに焼肉もいいな」なんて、気がつけば友人を誘ってみたりしちゃってるんですよね。悔しいことに(笑)。

キャバクラも同じです。
生活に絶対必要なものではないけれど、ちょっとしたきっかけさえあれば、ご来店くださるのです。そして、そのお客様の背中を押すきっかけは、女のコからのメールであることが多いのです。

あまりにも重要なので、もう一度言います。
名刺を渡す目的は、お客様から連絡先を聞くためです。
「美里です! 宜しくお願いします!」
「あの…お名前教えていただいてもよろしいですか?」
もしくは、
「何とお呼びすれば良いですか?」
「差し支えなければ、お名刺か、携帯アドレスとか、教えてください♪」

名前(あだ名でもOK)とメールアドレス。
ぜひ、この2つを聞いてください。
それさえあれば、ナンバーワンへの道は近いでしょう。

☆追伸

ただし、ご来店くださるか、くださらないかわからないような方へ、時間をかけてメールしても非効率です。それだったら、VIPのお客様へのサービスやアフターフォローに時間を使った方がよっぽどいい。
だけど、返信がなくてもアプローチを諦めてはいけない…じゃあ、どうしたらいい?
そこで、時間をかけずにポチッとボタンを押すだけで、500件でも、1000件でも、同時にメールが送れるシステムを開発しました。
しかも、受け取ったお客様は自分だけに送信されたメール(通称One to Oneメール)に見えるので、効果は絶大。

誰にもできないことをやっているからこそ、ナンバーワンになれるのです。
魔法の営業ツール『Legend』で、本気でナンバーワンを目指してみてはいかがでしょうか?