第三夜「1ヵ月後」 | ハッピー★レボリューション |
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ふつうの女のコが、ナンバーワンキャバ嬢になるまで。 |
text by 甲賀 香織 |
第三夜「1ヵ月後」(1/4) |
体験入店から1ヵ月経ったある日、美里は店長の菊地に喫茶店に呼ばれた。 1ヵ月もたつと、お店のスタッフや女のコたちとも少し仲良くなっていたが、営業前に呼び出されたのは初めてだ。 高架下の、小さな喫茶店。 店内には、水商売らしい女性が2人ほどいた。 その奥で、菊地がニコニコと手を振っていた。 「おはよう! ごめんね、忙しいところ」 「いえ、いいんです。お話って何ですか?」 「いや、実はね…… 美里ちゃんって、お店のシステム、知ってたっけ?」 「はい、あ、いえ、実はよくわからない部分が多くて…」 「だよねぇ。初めてだと、ややこしいよねぇ。 あのね、結論から言うと、来月30万円売らないと、クビになっちゃうのよ」 「はぁ?」 突然のクビ宣告に、美里は驚いた。 お客さんの扱いにも慣れたし、 お店のみんなとも仲良くなってきたし、 OLとの両立にも慣れてきたところなのに——いきなり何!? それに、そんなこと、聞いてないし! 「だよねぇ。言ってないよねぇ。ごめんごめん。 でも、美里ちゃんならいけると思うよ!」 根拠なく励まされ、美里はこの1ヵ月を振り返った。 もしかして… 新人だから許されるだろうと、美里はこれまで営業らしい営業をしてこなかった。 お客さんの名刺をもらうこともあったが、自分から連絡をしたことがない。 お姉さんホステスのフォローをしながら、客に嫌味なことを言われてもニコニコと笑っている ——それが“仕事をしていること”だと、勝手に理解していた。 営業すればいいんでしょ、営業すれば… 「はい。わかりました。頑張ります…」 少しふてくされながら、美里は菊池に言った。 ところで“営業”って、どうやるんだろ…? |
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