——どういうことですか?
「そうやって丁寧に接客すればするほど、ヨソヨソしさや営業っぽさが出てきて、『なんだかおもしろくない』と、お客さんが離れていったんです。そうやって売り上げが下がり出すと、焦ってますます『ちゃんとした』接客を追い求めるようになる。そしてお客さんがますます離れていく……。そんな悪循環に陥ってしまいました」
——丁寧過ぎる態度が、逆にアダとなったんですね。
「やっぱり臨機応変さかなぁ? でもウチのボーイさんって『このタイプのお客様だったらこのコだな』っていう付け回しがすごく上手なんですよ。だから接客でイヤな思いをしたってことがほとんどないんですよ」
——接客の際、心がけていることはありますか?
「そうなんです。『このままではマズいな』と気付いて、マニュアル通りの接客をするだけじゃなく、以前のように、自分の『素』をお客さんに見せるようになりました。飲ませたがる人にも「今日はもう飲みたくないからウーロン茶がいい」って言ったりとか(笑)。そうするうちに、定期的に指名をくれるお客さんが少しずつ増えてきて、気付いたら売り上げが以前より増えていたんです」
——素直な自分を見せることが、売上増の秘訣だったと。
「そうです。マナーは大事ですが、それ以上に、お客さん一人一人と本音で向き合ったほうが、結果として多くの人から好かれることがよく分かりました。慣れないうちはどうしてもマニュアルに頼りたくなるけど、それだとやっぱり限界があるんです。……それに、やっぱり素直に自分のホンネを言えた方が、お仕事も楽しいですしね!(笑)」 |