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第47回 薬物依存症 |
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何かに頼りたい、イヤなことを忘れたいと思ったとき、あなたはどうしますか? そんな心のすき間に忍び込んでくるのが「薬物」。決して人ごとではありません。 監修/榎本稔(榎本クリニック) |
■死に至ることもある 恐ろしい依存症 |
薬物依存症とは、身体に摂取することで快感や幻覚などを覚える薬物を乱用してしまう症状のこと。最初に感じた気持ちよさや高揚感を忘れることができず、繰り返し使ううちに回数や量が増えていき、最終的には自分の意志でコントロールすることができなくなってしまいます。 薬物によっては、使い続けるうちに身体も心もボロボロになり、やがて死に至るという恐ろしいケースも。 一時的にイライラや不安感、ストレスから逃れたいという気持ちから、薬物に手を出す人も少なくありません。また、「1回くらいなら大丈夫。依存症になる前にやめられるだろう」などと安易に手を出した結果、薬物依存症に陥る若者も増加しています。 依存症という段階に足を踏み入れたら、自分で克服するのは非常に困難。絶対に専門的な治療が必要です。 ☆こんな人が薬物依存症に陥りやすい 陥りやすいタイプは、プライドが高く現状に満足していない人や、人生に焦りを感じている人。薬物を使用することで、現実から逃れ、自分が大きくなったように錯覚してしまうため、依存症になるケースが。 |
■意外と身近にある? 依存性の高い薬物 |
依存性のある薬物というと、非合法なものをイメージしますが、合法的に使用されているアルコールや、市販されているせき止め薬などもじつは依存性の高い薬物に含まれます。使用方法や量を誤れば、依存症に陥る可能性は十分考えられます。 このような薬物は人工的に気分を変える働きがあり、その作用は、酔ったようなボーッとした気持ちよさ(抑制作用)、スカッとした爽快感や高揚感(興奮作用)、幻覚を生み出す(幻覚作用)といった3つに分けられます。 1.抑制作用を持つ薬物 アルコール、シンナー、マリファナ、睡眠薬、抗不安薬など 2.興奮作用を持つ薬物 覚醒剤、コカイン、ニコチン、せき止め薬など 3.幻覚作用を持つ薬物 シンナー、マリファナ、LSDなど |
■心から身体へと広がる 薬物依存症の症状 |
薬物依存症に陥ると、下記のように、自分で自分をコントロールできない状態に。やがて脳の神経にまで悪影響を及ぼし、薬物をやめたあともフラッシュバックに悩まされることもあります。 精神依存 薬物が生活のすべてになり、もっとも大切なもののように感じる。薬物をやめることができなくなる。 ↓ 耐性 使い続けるうちに少量では効かなくなり、以前と同じ効果を得るために使う量が増加していく。 ↓ 離脱症状 薬物によっては、使わないと全身が震えたり、吐き気、幻覚、妄想、イライラ、やる気の減退などの不快な症状が表れる。 ↓ 身体依存 離脱症状を防ぐため、薬物を使わずにはいられなくなる。 ☆フラッシュバックとは...... 薬物をやめたあとも、何かのきっかけにより幻覚や妄想など、薬物を乱用していたときと同じ症状が表れること。半永久的に続くといわれている。 |
■薬物依存を克服するには 自分の意志と周囲の助けが必須! |
薬物依存症の治療は、まわりのさまざまな協力が必要です。まずは、自分一人ではどうすることもできない状況を自覚すること。そして、早急に精神科や心療内科など専門の病院で治療を受けることが必要です。 病院では、定期的な通院により病気のチェックと規則正しい生活を身に付け、ミーティングに参加しながら自己の生き方・楽な生き方を学ぶといったプログラムがあります。そして、自分のことを周囲に理解してもらいながら、よりよい人間関係のネットワークを築いていくことが大切です。 ☆周囲が早期発見するには 薬物使用者は必ず何らかのサインを出しているため、周囲はそれを見逃さないこと。食事の量が極端に減ったり、ほとんど睡眠をとらない状態が続いている、金銭的に困っているが何に使っているかわからないなどの傾向が見られたら、一度疑ってみることが必要。 |
■これも立派な依存症! タバコ依存度チェック |
喫煙者なら誰でも陥る可能性のあるタバコ依存症。 下記の項目で当てはまるものをチェックしよう。 □起床してから30分以内に喫煙する □一日の喫煙量は平均25本以上 □ほかの時間帯に比べ午前中に多く喫煙する □タバコを吸うときは深く吸引する □朝の一本がもっともおいしい □タバコを吸えないとイライラする □禁煙したけれど失敗した □健康上に問題があってもタバコをやめられない □だんだんタバコの本数が増えている □喫煙できない場所にいるのがつらい 5個以上の人は...... タバコ依存症の可能性が高いです。 身体を壊す前に、本格的に禁煙を始めてみては? |
●先生答えて!! |
私の妹が薬物に手を出しているようです。家族としてどのような対応をしたらよいのでしょうか? |
A. まずは専門の病院やクリニックに行くことを勧めてください。回復への近道は、きちんとした治療を行うことから始まります。また、家族としてできることは依存症について勉強し、回復を信じること。責めたりお説教をするのではなく、患者が安心して治療に取り組めるような環境をつくってあげましょう。病院やクリニックは家族グループというプログラムも行っています。 |
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